自由と放棄の違い

何の絵?と子供にきくのをためらう理由

昔、これ何の絵?ときかれて答えられなかったことがありました。

会話の糸口でもあるし、
もちろん話が盛り上がることもあるかもしれません。

自分は、ただ楽しく、身体全体で描くのが気持ちよかったから描いていたと思うのですが、
それが何であるかは共通認識として必要なようです。

今描いている絵があります。

制作途中/1620×1300mm/2020年7月

ストロークを描くときの身体の伸び、

思いがけず色が重なりあったり、

手で描いた時冷たくて気持ちいい。

そういう身体活動や本能的感覚のようなものは
私の制作にとって大事なものだと思っています。

この絵はまだ、花火でもなければ石でもなく、花でもありません。

子供から見た絵の世界

昨年個展を行った時に、男の子連れの方が見に来てくださいました。

まだ小さいその子は、絵を見ながら話し続けました。

「これは宇宙の始まりで、星がいっぱい生まれるところだよ。
これはインドにある花火でこっちはブラックホールで・・・」

彼曰く、宇宙のはじまり
ギャラリー全体をぐるりと回って、星が生まれ変わったり火山が噴火したりする物語になっているそう

この現象を目にして、

ああ、絵は見る人がどこまでも自由に受け止めてくれて、
それはとてもありがたいことだ、と思いました。

その子の感性の豊かさに感動し、
同時に、これくらいパワフルに自分の絵を語ることができなかった自分が恥ずかしくもありました。

自由と放棄の違い

「この絵は自由に描いたから、一人一人自由に受け止めてください」
という場合もあるかもしれません。

しかし一歩間違えれば、他者の感性に全てを委ねる一種の放棄になってしまうと思います。

もちろん自由に感じて欲しい、
でも自分でも自分の絵を言葉にしてアウトプットしていかないと
あなたはそう思ったのですね、で止まってしまう。

君にはこんな風に見えるんだね、
私はこう思って描いたよ。
もしかしたらこういう繋がりがあるのかもしれないね!

もしそんな会話がその男の子とできていたら、、、
会期後の今でもしみじみ思い出します。

今描いている絵や今後展示に出す絵も、
たとえそれが具象的な何かを表していないまま完成したとしても、
自分の言葉で話せるようになりたいと思います。

植村遥

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Uemura Haruka

Uemura Haruka

植村 遥 三重県出身の画家。油絵を軸に活動する。ドローイング制作や画集制作も行う。 Uemura Haruka Oil painter who live in Japan. Mainly fabricate oil painting work. Drawing work, Art book.

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